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「ソーシャル・デザイン」01/12/07

日本環境財団の高見裕一さんが、「自分のライフワークはソーシャル・デザイン」といっている。アースデーマネーの池田さんも、その言葉をライフワークとして使っていて、そうして初めて2人が会う現場にたまたま私が居合わせることとなった。

私は、英語が、あまり好きでもないので、その言葉にピンとくるものを感じな
いのだが、考えてみると、私がやりたいこともそんな事なんだろう。

歴史ものは全く読まないので、聞きかじりでしかないのだが、坂本竜馬という人は、卓越したソーシャル・デザイナーだったに違いないと思う。私が勤める総合商社のもとになるものをデザインしたのも彼のようだ。

それから百数十年が過ぎて、色んなことをデザインしなおさないとにっちもさっちも行かない時代になっている。

商社に務めていながら、私は「貿易は抑制すべきだ」と思っている。「自由貿易は世界の富を増す」という理論の拠りどころは、リカードという経済学者の作った鶴亀算みたいな学説を除くと明確なものがないと大学時代にある教授が言っていた。「人を豊かにするのはモノではない」と心の奥底では皆知っているのに、自由貿易を至上命題だと思い込んで、猛烈な勢いでそういうシステムを拡大させている。結果、世界中の富はいよいよ集中し、格差が広がり、軋轢がいたるところで生まれている。

「そんな甘っちょろいことを言ったって、資源のない日本は貿易をしないと生きていけない。」という反論がすぐに聞えてきそうであるが、前にも書いたが日本は自給できる国である。デザインをしなおせばよいだけなのだ。

宮古島に行ったとき、船井幸雄さんがこんなことを喋っていた。
「たいへんな時代がはじまったけど、今言えることは、これからの国づくりのモデルはキューバだというのは、世界の有識者の一致した見解だ。カストロというのは恐ろしく偉大な為政者で、ソ連が崩壊して物資の輸入が途絶えると、あっという間に経済を自給型に変えて、世界有数の有機農業国を作ってしまった。」

メディアから伝わってくるイメージだと、カストロというのは、気違いじみた共産主義独裁者だと思うに違いないが、スペイン語翻訳家の卵であるウチの妻が教えてくれたところによると、彼は、キューバの裕福な家に生まれ、優秀な弁護士だったのだが、この国に厳然としてある貧富の格差を目の当たりにして憤りを感じて、結果、革命の指導者になった。彼は、投獄されていて何の準備もできずに法廷に呼ばれても、資料なしで何時間も答弁し、それを書き落とすとそのまま名文になったというほどの才気をもった人らしい。

さてさて、
「お前は、金になりそうにもない色んな事に手を出して、ちっとも実にならないじゃないか。」という声にならない声を感じる。

言わせてもらいたい。

こういう事考えて実社会で具体的な活動をしている人が、あまりにも少ないんだ。

森孝之さんも言ってくれた。百年後を考えた国づくりが商社の本当の仕事だと。

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