合言葉は『ヤーナ』! 02/03/06
高橋ユリカさんからこんなタイトルのメールを頂いた。
高橋さんは、ジャーナリストでアエラ誌にスウェーデンのヤーナにあるシュタイナー医療の病院「ヴィダール・クリニック」を紹介されている。知人を辿ってメールでお話させて頂き、先日、会社を訪ねて下さった。ご自分の癌の経験をきっかけに、代替医療やホスピスをテーマに執筆されている方である。
ヤーナというのは、スウェーデン南部、バルト海に面した村である。戦争を逃れて移り住んできたアントロポゾフ(人智学徒)達がこの地で開拓をはじめる。アルネ・クリンボルグさんという芸術家や、もう故人となってしまったエリック・アスムッセンさんという建築家がリーダーとなって、何もないところに一つずつ事業を起していったのだ。ここの広大なバイオダイナミクスの農場でとれた農作物と加工品は、SALTAというブランドでスウェーデン中に流通している。シュタイナー学校は3つあり、教員養成も行なわれている。村の中には、障害者施設も点在し、病院、老人ホーム、芸術ホールなどなど、数え上げたらきりがないほどだ。
オルタナティヴをメジャーにすることが自分の役割なんだろうと、以前思ったことがあったが、ここは、まさにオルタナティヴがスタンダードで、スウェーデンの社会ともしっかりと調和しながら、次世代の社会モデルとして注目されている。
昨夏のヨーロッパ・ツアーで、最初の訪問地がこのヤーナだった。3泊4日の滞在中、テレビもない部屋に寝泊りし、早寝、早起き、アルコールなし、食事は殆どベジタリアンという暮らしを経験し、日頃不摂生極まりない生活しているサラリーマン達はすっかり心洗われた気分になった。
現在ヤーナの代表をつとめるアンダース・クムランダーさんは、夜遅い時間に空港で出迎え頂き、滞在中ほとんどフル・アテンドしてくださった。村の長老的な存在であるクリンボルグさんも、娘さんに手をとられながら、何度も出向いてくださり、我々に熱く語リかけてくれた。「プロジェクトを実現させるのに、一番大事なのは、long will(長い意志)です」。
あれは、本当に心に染みる旅だった。
「我々がやりたい事は、端的に言ったら、日本にヤーナを創るということです。」と高橋さんに書き送ったら、随分と驚いた様子だった。「ヤーナを知っている日本人って全部で10人くらいしかいないんじゃないかって思ってましたけど、こんな処にこんな人達がいるなんて……」。高橋さんは、この村が大好きで、この夏3度目の訪問をするのだそうだ。
また、最近、「自然計画」を見て、スウェーデンのキャンプヒルでボランティアをしているという日本人女性からメールを頂いた。ここに登場してもらえそうだ。
ヤーナをキー・ワードとして、よい縁が繋がりそうだ。
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