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「アイヌのシャーマンを訪ねる」    02/05/17


「あら、あんた、近所の兄ちゃんが東京から帰って来たのかと思ったよ。眉毛がつながってて、目が二重で、下半身は毛深いだろ?アイヌそのものだよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
田口ランディさんのメルマガ読んでから、ずっとアシリ・レラさんに会いたいと思っていた。偶然、田口さんにレラさんを紹介した天川彩さんとお知り合いになり、今回、取材に同行させて頂いた。
レラさんは、日本人の意識が最近随分変わってきたと言う。最近は自分のルーツを探して、二風谷を訪ねる人が多くなっているんだそうだ。
この人はどういう理由でここにいるんだろう?と思うような人がレラさんの処には沢山いる。親御さんと暮らせない子供達や、直接血の繋がりはなさそうな大人の人が何人もいる。賑やかな居間で、卓袱台で座ってご飯食べていると、確か、昔、こんな生活があったような気がしてくる。理由がなくても、ただ居れる場所って、今の社会にはほとんどなくなっていることに気が付く。
レラさんは、家族だけじゃなくて、近隣の人達の世話も随分としている様子だった。決して多くない現金収入があった時には、それを地域の人達の支援にまわす。近所の若いお母さんが、娘の修学旅行代を作る為に、刺繍をレラさんに買い取ってもらう現場にたまたま居合わせて、とっても暖かい気持ちになった。貧しくても分かち合える。貧しいからこそ分かち合えるのかなとも思った。
「この辺の木は、全部私達が植えたんだよ。皆、自然に生えたんだと思っているけどね。」ドライブをしていると、助手席のレラさんが説明してくれる。
「持続可能な社会をどうやったら作れるのか」なんて東京で議論している事が、ここでは当たり前のように日常に組み込まれている。自給自足、助け合い、自然との語らい………。
かくありたいって、しみじみ思った。

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