「モンゴルを行く」 02/08/07
「世界100カ国以上まわって、アマン系のリゾートなんかも行き尽くしたんだけど、モンゴルのゲルで寝るほど気持ちいいことはないんだ。緯度も高度も高いから夜の星の数が違う・・・・・・。」
高見裕一さんのこんな言葉に突き動かされて、モンゴルに行ってきた。
日本は国土に占める森林の比率が世界一高い「森の国」、それに対して、モンゴルは草原の比率が世界一高い「草原の国」なんだそうだ。海や砂漠を目の前にして、自分の小ささを思い知って、日頃の悩みがすぅっと晴れていく経験は何度もした。今回始めて、どこまでも続く草原の中で同じ感覚を味わえる。
高見さんは、数年前、縁あってモンゴルの大学で教鞭をとることとなった。目を輝かせて彼の話しに聴き入る学生達と接して益々この国が好きになり、足繁く通い詰めて、次第に政府の要職を占める方々との交流も深まっていった。そして、とうとう自然環境省の特別政策顧問という立場を拝命するにいたったのだそうだ。
近年、地球温暖化のリバウンドで、この国にはゾトと呼ばれる大寒波が繰り返し起こり、数百万頭単位で家畜が死ぬという災害が起こっている。家畜を失った遊牧民はウランバートルに流れ着き、郊外にスラムが形成されていく。
そんな状況下で、高見さんが仕掛けた事は、内陸国であるモンゴルを国際捕鯨条約に加盟させるという奇想天外な戦略だった。そして世界の最貧国が集中する内陸国の連帯を深めて、海洋資源を人類共通の資源として、その権利を訴えていこうとしている。
ただし、モンゴルは統計的には一人当りのGNPが300ドル程度という最貧国なのだが、他の国々とは事情が違う。識字率、教育水準が高く、肥満率まで高いのだそうだ。出生率は2%を下回り先進国並みの水準である。
また、人々と接していると確かに民族の誇りというものを感じる。かつて無敵の騎馬兵が世界を駆け巡り、歴史上最大の国をつくった人達だ。
滞在中、食事は確かに肉づくしだったが、その生産方法は殆ど完璧なオーガニックで、良質だ。狂牛病も口蹄疫も心配がない。肉好きな私にとって食事は殆ど苦にならなかった。そして、女性は美しい!高見さんは言っていた。「あんまり日本に戻る必要性を感じない!」
そしてそして、滞在中に一番驚いたことは……。
それは、国会議員の方の招待で迎賓館のような場所で食事をさせて頂いた時のことである。議員のはからいで、馬頭琴の生演奏を聴く機会に恵まれた。そして、数曲の演奏が終わった後、モンゴルの馬頭琴の第一人者と言われるその演奏者は、おもむろに別の楽器を口に当てて吹き始めた。
ななな、何と、この音色。アイヌのムックリと一緒じゃないか!
私の大雑把な歴史認識は、元々日本には私のようなソース顔をした先住民が住んでいて、そこにしょうゆ顔の人達が農耕文化を携えて大陸から渡って来て、闘いながらも混血していったというものだ。何で、しょうゆ顔の人達も同じ楽器を演奏するんだ!?
もっと根っこの部分では確かに繋がっているという事なのか?ううううううむ。奥が深い。
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