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「思想人」  02/09/17

 そもそも私は、「危機」を背景として行動することにどこか違和感を覚えてしまう性質なので、この「一周年」に際しても、「このイベントも、どうせイラクとの戦争のマーケティング・ツールにされるんだろう」ぐらいの冷めた感覚で、何気なく、テレビをながめていた。

このテレビ番組で、ニューヨークの女の子の作文が紹介されていた。
「彼らは、何故あんなことをしたんだろう?お金のためかしら?」

私は、こんな風に答えたいと、その時、思った。
「子供にそんな考えしか思い浮かばせない社会が、あんまり圧倒的な力で押し寄せてきて、お陰で、世界の隅々の人々の日々の暮らしの中にまで、虚無感が広がってしまって、苦しくって、憤りを覚えて、それを自分の命を賭しても何とか表現したくって、そうしてあんな行動に出たんだと、思うよ。」

さてさて、 先日、高見裕一さんと飲んでた時のことである。
高見さんが、「梅原猛先生には随分可愛がって頂いてなあ。」と言っていた。

 梅原猛さんが好きだというのは、少し年配で環境問題に取り組む人の共通点のように感じる。その話しを聞いて、やっぱり私も梅原猛さんの著作にあたっておく必要があるなあと感じた。そして、森孝之さんと梅原猛さんも登場する「季節の思想人」(佐田智子著、平凡社刊)という本を思い出したので、週末に近所の図書館に行って借り出してきた。(森さん、済みません!実は、まだ読んでいませんでした!)

 この本、朝日新聞の編集委員である筆者が、時代を代表する思想家達、24人を訪ね歩いてインタビューしたものをまとめたものである。

 最初は梅原さんと森さんの部分を拾い読みしようと思って手に取ったのだが、この本、ぱらぱらめくって読み進めると、実に面白い。

「思想家」という言葉に対して一般的にもつイメージは、「あれこれ理屈を言ってばかりで行動しない人」というものだろうか。
でも、ここに出てくる人達は、一人残らず、実に個性的に生きてる人たちばかりだった。

なんと表現すればいいのだろう。

「時代の空気に流されず、時代とそこに生きる自分というの存在の意味を真正面から問いながら、日々、自分を全力で生きているという感じ」とでもいったらいいだろうか?

 さてさて、最近、同業他社が、先月私が訪れたモンゴルでの汚職をめぐる事件の為に、社長が引責辞任していた。

 「『チリンと音のする仕事をしろ!』と上から言われて、『国のために……』という文化が急速になくなっていった。」と社員のコメントが新聞に載っていた。

「思想」という言葉は、とっても古めかしい言葉だけど、個々人が自分としっかり向かい合って独自の思想をもつことが、何より大事な時代なんだと感じる昨今だ。そんな想いを込めて、最近、企画書を一本書いた。やっぱり、変な出来になってしまった。(笑)

会社の経営者に至るまで、時々、こんな問いを投げかけてみたくなることがある。
「それは、本当にあなた自身から出た言葉ですか?

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