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原点回帰パート2  02/11/25

 先日、川村健一さんとお話している時に、「司馬遼太郎さんと武村正義さんの対談が出版されている」という事を教えていただいた。早速、その本、「日本人への遺言」を買い求めて、読んでいる。

 1984年の対談である。公害はあったが、まだ温暖化には気づいていない時代、バブルも起こっていない時代である。

 武村さん、数ヶ月前に一度お会いさせていただいたのだが、とても淡々とした方だった。経済一辺倒で豊かさを享受した時代、「何かおかしい」と武村さんを突き動かしたのは、「農民の子」という原体験なのかなあと本を読みながら推察した。琵琶湖の水を守る為に、合成洗剤を使うのを止めて、田んぼの畦に木を植えて………市長時代には、「自転車のまち」を標榜してたこともあるようだ。結果、とても先駆的だけど、そういう目的でしたのではないんだろう。

 お会いした時に、武村さんは、とつとつとおっしゃった。
「すべての人が優れている。本当にそう思えないと政治家になっちゃいけないんだよね」。

 メディアを通して伺えるステレオタイプな政治家像とは随分と違う方だなあと感じた。本当にそう思って、政治をされてたに違いない。

 さてさて、原点回帰な話である。

 ウチの会社は、近江商人がつくったものである。最近、琵琶湖をぼんやりと眺めながら、自分がこの会社に勤めている事の意味を自問していた。

先日、滋賀県人である武村さんにお尋ねした。
「『近江商人』というものがよく分からないんです。根底に流れるものが見えてこないんです」。
「うーん、私もよく分からないけど、商道徳をきちんと守る人達だったようだよ。決して暴利を貪らず、約束はきちんと守るといったものだと思う。」

 ちょうど「日本人への遺言」の中で、司馬遼太郎さんは、父親に「商人とは借りたカネを返すという仕事だから、お前には向かない」。と言われたんことを語っておられた。

 自分にはあまりない徳目で、身につける必要のあるものかもしれない。時代がそうだとも言えるのかもしれない。

 また、司馬さんが、ずっと土地の私有制を問題視していたという事を実は初めて知った。

 ちょうど、私がモンゴルに行った時の、環境大臣との会食のことを思い出した。自由主義経済を目指すモンゴルでは、つい最近、法律で土地の私有が認められるようになったのだ。会食で発言を求められて、こんな言葉が口をついた。

「日本の経済はこの10年ずっと良くないのですが、その原因は土地投機がきっかけでした。その不良債権処理の現場にいると、『そもそも土地私有の制度自体が問題ではないか?』とさえ思えることがあります。日本でそれを変えることはとても難しいのですが、モンゴルでは、つい最近、法律ができたばかりだと聞きました。よい運用を期待します」。


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