通勤 03/02/10
自宅から最寄りの大網駅までは、徒歩なら30分、自転車で10分の距離であるが、途中、アップダウンが2回あって、ちょっとした運動ができるコースとなっている。
年が明けて、初出勤の日の帰り道のことである。12時をまわった周り、少し酔いがまわった体にムチ打って、自転車をこいでいた。外はすっかり冷え込んでた。ぜーぜー言いながら足に力を込めて、多少ふらつきながら坂道を登っていると、なんだか辛い気持ちになってきた。
「ふう、何で俺、こんな目にあってんだろ。」
直ぐに答えが返ってきた。
「ああ、自分が選んだ道だった。」
しかし、人間とは、なかなかタフなもので、それを辛いと思ったのは、初日だけだった。その内に、澄んだ空にいっぱい輝いている星を眺める余裕まで出てくる。
最近は、妻が駅まで送り迎えしてくれるようになったので、それに甘えている。妻がうたた寝してて、駅で10分も待たされて、喧嘩になったことが2度ほどあるのだが、総じてよいコミュニケーションの場かなと思っている。
「通勤、大変でしょう。」とよく言われる。
正直、そうでもないのだなあ。
人によって「閃きが得られる場」というのがあるように思うが、私の場合は、それが電車の中と歩いている時だ。反対に全く駄目なのが、会社の机の上だったりする。だから、電車に長く乗っていられるのは私にとって良いことである。
東京に住んでいる時は、兎に角いつも旅がしたいと思っていたが、最近は全くそれがない。それは、きっと毎日旅している気分を味わえているからかと思う。
また、乗り換えは2回ほどあるが、一番距離の長い蘇我―東京間はずっと座れる。1時間程の間、晴れた日には東京湾の向こうに富士山が見えるという景色を味わいながら、新聞に一通り目を通して、それからパソコンを取り出して、一仕事したりする。この原稿もそうやって書いている。書き終わってもまだ10分程残りそうだ。
また、何よりよいことは、深酒をしなくなったことだ。10時30分になると、早くも終電モードなので、酔っ払ってる時間がない。で、だいたいこれ以降の酒が、二日酔いとトラブルの原因になるのだが、そうしたことが殆どなくなった。「終電」という圧倒的な存在の前に、「付き合いの悪い奴」というレッテルは貼られることがなさそうである。
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