自治会 03/02/25
体が完全に回復しないので、無理して駐車場作りはしないこととした。ただし、ずっと喉の奥に引っかかっていた作業はやれた。初詣の時に買った榊の苗木を植える事だ。息子も一人風邪をひいていて、元気な方と二人で、あまり日当たりの良くない場所に植えた。榊というのは、成長が遅く、半日影を好む木だと友人が教えてくれたからだ。肥料になるようなものがないので、トイレからこげ茶色になったおが屑をとりだして、穴の一番下に敷いて、植えた。ずっと放ってしまっていたので、葉っぱがしおれて一部は黄色になってしまっている。上手く根付いてくれるといい。
さてさて、自治会というのに初めて出た。
思えば私は、選挙にさえ、全部で2,3回しか行った事がない不真面目な市民なのだけど、ここではそれじゃいけないと思って、病み上がりの体に鞭打ってシャワー浴びて髭そって、少し遅刻して出席した。
このニュータウンは全部埋まると2000世帯程になる大きなものだけども、今現在は約300世帯。コミュニティの中に未就学の子供が7〜80人居るというから、かなり平均年齢は若い様子である。
遅れて到着して最後列に座ってざっと眺めると全部で80人ほど出席してる。日曜日の午前中、中々高い出席率だと関心した。
議題は、自治会の規約の改正だった。あわてて事前に配布されて資料に目を通す。
一番最初にあったのは、これまで全住民にあった会員資格を家族の代表1名に限定するというものだった。
(うーん、せっかく直接民主制が発揮できそうな唯一の場所なのに…….。)
でも、あらかた根回しが終わっているのだろうし、ここで私が意義を申し立てても仕様があるまい。何せ、ろくに選挙にも行った事がないというのが、私なのだから。(と、日本人的な振る舞いをしてしまった。)
議事が進む中で、議長が、「何か、日頃の生活の中で、言いたい事はありませんか?」と言った。
すかさず、私は手を上げて発言した。
「この年末に3丁目に引っ越した佐々木です。インターネットを繋ごうとしたら、この団地はブロードバンドが繋がらない事が分かって、少し不自由しています。遠距離通勤で東京まで通っているんですが、せめて通信環境は充実できたらと思います。希望者を募って、無線の基地局を設けたら、大きなコスト負担なしに、団地のどこででもインターネットに繋がるようになると思いますし、既に電話線は光ケーブルのようなので、100メガのシステムの誘致運動をしてもいいかと思います。」
会議が終わったら、3,4名の人が私の周りに集まってきた。皆、同じことを思っていた様子で、「私も困っているの。何とかしたい!」と訴えたいようだった。
何かが始まりそうなエネルギーを感じて、うれしい気分で家に戻った。
折りしも、知人のフリーライター・中村いづみさんからメールを頂いていた。ずっと宮崎県綾町の照葉樹林に巨大送電線が建設されるのを阻止しようと運動をされている。その綾町の事が朝日新聞の天声人語に載ったのだそうだ。
綾町の前町長、郷田實さんは、一度講演をお聴きしてすっかりと敬愛の念を抱いた方だ。私が村おこしで拘わった地域で是非、郷田さんからご講演頂きたいと思っていたら、ある日突然、会社に訃報が入った。
そう、郷田さんは、戦後与えられた「自治」というものの本当に根付かせようと奮闘された方だ。
「日本はどうしたら変わると思いますか?」元国会議員であるウチの理事に聞いたら、こう答えた。
「うん、市民が生まれないと駄目なんだろうね」。
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