反戦デモ 03/03/10
子供に特定の価値観を植え付けるのが好きではないと日頃思っているのだが、これだけは私のメッセージとして「何より大事なこと」とはっきり伝えて、体験して欲しいと思ったので、反戦デモに家族で参加することとした。デモへの参加は、私にも初めての経験だった。
日比谷公園に着いたら、「緑の会議」のスタッフに手伝ってと言われ、私は、反戦メッセージの書かれた緑色のベストを着て、旗を持つこととなった。団体参加はデモの後列になるという事で、待ちきれないウチの家族は、一般参加の列に加わって先頭の方で、歩き出した。
とにかく人が多いので、私は日比谷公園を出られずに人込みの中で立ちどまっていると、歩きつかれた妻から、「ヘルプ」の電話が入った。周りの人に恐縮しながら、デモ体を離れ、有楽町駅で私を待つ家族の元へと向った。
皆、疲れきって空腹でもあったので、軽く食事をとった。
「今日は、本当にお疲れさん。戦争にならないといいね。」
そんな話をした。
店を出たら、もう7時になって、日はすっかり暮れて、冷え込んでいた。
通りを歩くと、まだ続いているデモの列に出くわす。ちょうど私が持っていた旗が目の前を通り過ぎる。
通行人として外からデモを眺めていると、その迫力に圧倒されて、思わず、目頭が熱くなる。東京の真中の大通りに、デモ隊の発する声が響き渡っていた。こんなに大勢の人が参加するデモは、安保闘争以来に違いないという声もあった。結局4万人も参加したのだそうだ。私のような家族連れも少なくないし、若い人達が音楽しながら歩いているのも随分いる。時代のうねりが目の前で起こっているという実感が沸いてくる。
中東に何度も出張で行っている私にとって、今起ころうとしている戦争は、それなりにリアリティのあることなのだが、日本人の大多数にとっては、遥か彼方で起こる、自分達には直接関係のない戦争であるに違いない。それでも、こんなに多くの人、それも直接利害のない人が集まって、反戦を唱えている。
人間、やっぱり捨てたもんじゃない。
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