ISO 14001 認証取得と禁煙は必然です

本学は、この10月に、 ISO 14001 を認証取得する予定です。地球環境問題はわたしたち地球に生きる生物の一員にとって避けて通れる問題ではありません。そこで本学も ISO 14001 認証取得大学となることにしたわけです。

国際環境規格 ISO 14001 は「地球とともに生きていくこと」を理念とし、自分たちが自ら環境に与えている影響を見つめなおし、良くないことを減らし、危険なことを防止することを目的としています。つまり、自分たちで環境目標をたて、実践し、見直すことを繰り返しながら目標に向けて行動していく仕組みです。

最初は、廃棄物の減量・リサイクル化、省エネルギーの取り組みからスタートし、(1) 企画・立案、(2) 実行、(3) 点検、(4) 見直し、の繰り返しを継続しながら、次第に高度な環境保全にまで近づけたいと考えています。

皆さんが就職される企業を始め、社会の多くの組織や団体などは ISO 14001 を認証取得し、地球環境問題に積極的に取り組む方向で進んでいます。すでに認証取得した組織や団体などは、認証取得したことを対外的に積極的に公表し、その先進性を自ら強調する傾向にあります。それは、意識を転換したことを表明しているのではないでしょうか。もちろんそうした組織や団体などに就職しようと思えば、自ら進んで意識改革をしておくべきでしょう。

意識改革はどれほど大切か。その好例はわが国の自動車業界にあります。環境庁が発足した翌年、大内初代環境庁長官はアメリカのマスキー法なみの厳しい規制が必要だと叫び、窒素酸化物などの厳しい削減案を翌73年に打ち出しました。マスキー法とは、レイチェル・カーソンが著書『沈黙の春』をアメリカで出版した翌年に、アメリカが誕生させた最初の公害対策法である大気清浄法を1970年に一段と強化したものです。

わが国の自動車業界はこの削減案に対して、当初は技術的な面や国際競争力の面から否定的な考え方を表明していましたが、ホンダが CVCC エンジンを発表してから様子が変わりました。やればできる、との肯定的な考え方が台頭し、数年で次々とハードルを克服しています。

かつてわが国は公害大国として世界に喧伝されましたが、今や公害優等生としての国際的評価さえ得ています。本年、アメリカの非営利環境団体が選んだ「グリーン(環境配慮型)カー」は、1位2位をはじめ4車種をホンダが占め、上位10車種を日本車が独占しています。

地球環境問題でも、優等生となることが期待されています。本学では、学生と教職員が一体となって自分たちの意識を改革するために ISO 14001 の認証取得を位置づけたいと考えています。皆さんがより望ましい社会人として巣立ち、社会で活動できるようにする上で必然の活動だと考えています。

皆さんに「心の大人」を目指そうと私は呼びかけ、「一隅を照らす人」になろうと提唱してきましたが、この認証取得と実践はその具体化をはかる上でとても大切なプログラムです。この実践を通して得る知識や技術あるいは見識が、あなたを21世紀が求める望ましき人材に育て上げるに違いありません。

学内報『みずき』2002年秋号

愛とは?・愛と環・愛永遠