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海詩の感性に脱帽 06/10/01

 「その気になれば簡単に出来るんだ」と改めて実感することがありました。くぼまりさんというヨーロッパなどで活躍している空間造形家の個展見学から始まり、この春ニュージーランドでお世話になった酒井さん親子3代を迎えた後も楽しいことが重なった1週間でしたが、酒井さん一家の来訪をきっかけに、週始めに居宅で気になっていたことを次々と片付けられたのです。

 春から断続的に収穫を始めていた沐浴剤の材料と、初夏に刈り取った小麦を風除室で干したままになっていたのですが、前者の切り刻み作業と後者の手もみ脱穀を済ませました。寝室の障子が動きにくくなっていましたが、ジャッキまで取り出して直しました。私がそれぞれ1〜2時間、計5時間ほどかけました。脚立を使った風呂の天井拭きとか母屋の座敷や居間とか台所などの片付けは、妻が数時間を割きました。ともに「案ずるより生むが易し」で、爽快でした。

 月曜日の昼前から火曜日の昼過ぎまでの約30時間は、アイトワにとって特別の時間になりました。「海詩=みいしゃ」という2歳3ヶ月の女の子が、母親にも予期せぬ行動を次々と演じ、6人の大人を感嘆させ続けたからです。夕刻の長風呂に始まり翌日の昼食時の会話で終わった一例は、私には忘れ得ない思い出になりそうです。風呂には沐浴剤の煮汁を溶き込んでいましたが、海詩は湯船で「飲んでもイーイ」と母親にねだり、飲ませてもらいました。だから、昼食時に私はアトピーやアレルギーを話題してニュージーランドでは話題になっていないことを知りました。

 海詩は琥珀色の薬草風呂に初めて浸かったわけですが、その香りや色がとても気に入り、どうしても飲みたくなったようです。持って生まれた感性が、自然豊かなニュージーランドで磨かれ、母親の故郷である日本の薬草の香りや色に触れ、目覚めたのではないでしょうか。海詩は皮膚だけでなく消化器からも薬効を取り入れたくなったのか、あるいは取り入れても大丈夫だと感じたのでしょう。これもアイトワの庭が海詩の感性を刺激した例でしょう。またレイさんの手紙も解読できました。ニュージーランドでホームステイをしたお宅から10日ほど前に手紙をもらっていたのですが、私には十分読み取れていなかった部分を解説してもらえたからです。

 その後も、嬉しい知らせや便りとか、少し緊張する原稿や講演の依頼、名古屋、東京、岡山などからの来客などがあり、さまざまな思い出を振り返る楽しいひと時になりました。緊張する原稿とか講演とは、私の「道具観」を1200字でまとめる依頼と、株式上場時にお祝いの講演をした会社から21周年式典での記念講演や、日本環境教育学会での基調講演に耳を傾けてもらった人から別のところで再度「次の生き方」を語ってほしいとの依頼のことです。

 来客の中には「工業社会にドップリと浸かっていてもよいものか」との人生相談もありました。近頃は工業社会の超エリートから時々こうした相談を持ちかけられます。水曜日に、未花ちゃん母子が岐阜からひょっこりやってきました。レストランを経営する未花ちゃんは充実した日々を送っているようで顔が輝いていました。息子はテレクサイ年頃に入ったようです。早く泊りがけで来てほしいナ、と思いました。闊達な子どもたちと触れると、世界に雄飛する若人の夢を描いてしまいます。それは身近に新聞でも報道された岡部早織さんの例があったからでしょう。

 かくして、庭にはあまり時間を割けませんでしたが、種を落とさせたくない野草を見つけたは抜きましたし、まくべき種はまきました。薄黄色のリコリスが赤や白のヒガンバナに急かされるようにして咲き始めています。クコの花をまじまじと見ました。今頃になって花をつけたインドハマユウがあります。ナイヤガラというブドウを始めて味わいました。冬に備えて、金魚やメダカには餌をたっぷりと与えています。太らせて、冬越しを楽にさせたいのです。

リコリスの一種が咲き始めました。有毒のリコリンを含んだヒガンバなどの学名がリコリスとか。いつもこの薄き色の花は「赤や白のヒガンバナに遅れまじ」とばかりに咲きます。九州で自生しているリコリス薩摩美人かもしれません。中国ホウセンカやオオタデなどが満開ですから庭は結構賑わっています
手しごき脱穀をした小麦。昨年の半分の種で、昨年より多くの小麦が取れました。1粒の種から株別れがうまくすすみ、多くの穂を出させることが出来たわけです。小麦の育て方がほぼ習得できましたから、来年からは種を取る分だけを育てる予定です。
刻み終えた沐浴剤の材料。これまでに収穫した分ですが、ここに最後の収穫物レモングラスを刈り取って干し、刻み込めば今年の沐浴剤が完成します。
酒井さん一家と朝食の準備です。蝉や小鳥の鳴き声が聞こえてきましたし、ちょうどよい気温で朝食は始まったのですが、すぐに日が射しはじめました。だからパラソルを出しましたが、海詩はすぐにその支柱に登ろうとして、ずいぶん努力をしていました。
レイさんからの便り。レイさんはカウイの苗木を幾本か集めている最中で、それはニュージーランドを私が再訪したときの準備だ、とありました。植樹をする場所も決まりつつあるようで、その一箇所は火災があった跡だそうで、新聞も添えれていました。
「こんなに大きくなりました」との手紙に、咲き終わったチューリップの球根(手前袋の中)やナイヤガラというブドウとか和三盆の菓子も添えられていました。妻はこの春、銀座松屋での展示会で寄せ植えを頂きましたが、仲良しの東京のご夫婦にその世話を託して帰ったのです。よほど優れた育て方であったとみえて、この球根は来年も花を咲かせそうです。

家の中に入ってくる夏虫も動きが鈍くなってきました。夜の草むらでは盛んに鳴いていますが、なんだか少し寂しげに感じられます。