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リクチュールと無常 12/07/08

 終日の雨で明け、翌月曜日は真夏のような快晴。火曜日は一転して終日強い雨。そして水曜日は快晴といった日替わり天候を「待ってました」とばかりに活かせました。用件が異なる来客が多い週でしたが、その間を縫うようにして家事に勤しんだわけです。まず日曜日。先週末に仕立てた畝に十分な雨が降りそそいだと見てとると、客を見送ったあとの小降りをついて、トマトとナスビの苗植えです。快晴の翌日は、午前中は地味なウォーミングアップ。午後は派手なひと仕事。そして火曜日は雨を幸いに、体力の回復をはかる軽い仕事で1日を過ごし、週の中日の快晴は、山のような剪定くずの整理に活かしました。

 ウォーミングアップは、へしゃげたゴムホースと壊れたプラグの修繕です。派手なひと仕事とは、一石二鳥を狙った木こりです。一昨年の秋、学生助っ人がスモモの苗木を植えましたが、それを日陰にする背の高いカエデとカキの大胆な整枝です。まもなくサルが青柿を盗りに来る頃ですが、これで母屋の屋根からカキの木に飛び移れないでしょう。

 火曜日の軽い仕事とは、前日のウォーミングアップと同様に、長期間にわたって気になっていた修繕です。シャベルや小型のツルハシなど4種の道具の柄や手を新調しました。それも単なる新調ではなく、いわばリクチュールとでも呼ぶべき作業です。

 リクチュールとは、高級仕立直しとでも訳せそうですが、友人の造語です。友人はあるプロジェクトを発案し、その名称に用いました。私は1988年に「ポスト消費社会の旗手たち」との副題を付けた一書を著したこともあって、その意図に大賛成。このたびこのプロジェクトには補助金がつき、私も参画することになりました。このたびのシャベルなどの手や柄の修繕はリクチュールの心意気、ポスト消費社会の旗手好み、と思います。

 週の中日は、また快晴。またぞろ「待ってました」です。午前中はナタ(鉈)と植木バサミを駆使するウォーミングアップ。午後はエンジンソーを持ちだし、薪づくりに全開です。その最中に、ドサッと激しい音がしました。なんと太いサクラの木の太い枯れ枝が、10mほど下にある周回路を遮るようにして落下していたのです。ゾッとしました。

 以上のように、このたびの日替わり天候は、願っていたように年次作業に活かせました。無常という言葉はニヒリズムを連想させそうですが、逆に無上の静かなる活気に結びつけることができました。つまり、自然は無常。片時も待ってくれず、2度と同じ事を繰り返しませんが、それが私たち夫婦の生き方にとっては不可欠の年次作業を「天の助け」のごとくに活かさせてくれました。もちろん年次作業だけでなく、キンギョの餌やりや植木鉢の水やりなどの日課もきちんと挟み込んでいます。妻は次の個展を10月に控えており、風呂焚きも私はすすんで引き受け、点数を稼ぎ、クズの薪で焚くようにしています。

 木曜日は、ぐずついた天候で明け「よかった」と思いました。少しバテ気味であったからです。そこで、温室での仕事や野小屋の整理を主に据えて、小降りと見ると畑に飛び出しています。そのようなわけで、この5日間はカン(勘)ピューターを駆使し、3度目のキュウリ、ゴーヤ、そしてシカクマメの支柱立て、4度目のインゲンマメの種まき、アップルセージの4つの大鉢のカフェテラスへのデビュー、あるいは6つのレモングラスの鉢作りもできましたし、数多くの包丁や鎌を研ぎ上げることもできました。

 曇天の金曜日ですが、これも「しめた」と思っています。北海道に出かけようとしており、来々週の中日までとても立て込んだ日程がつまっているからです。

 

このシャベルは母が使っていたものですが、手が朽ちたままになっていました。カマは、間違って焚き火で手を焼きました。それぞれ手や柄を失っていたのを幸いに、使い勝手や使用途を考えて、個性的な手や柄を新調しました。道具とは、本来は「人間の体の延長」です。2人として同じ人がいないように、道具もそれぞれ異なっていて当然です。ツルハシは、タケノコを採る専用具として野小屋に常備することにしました。

屋内に棲みついたキリギリスが、流しの上部にあるカマキリの巣をたべる場面に出くわしました。バリバリとたてる音で気づきました。「ぼつぼつ婚期では」と考え、妻に網戸も開けさせました。出ていったままになるのか、このカマキリの巣を食べたくて戻ってくるのか、気がかりです。

願いどおりに咲いたスイレンとコンロンカを見かけました。スイレンはすこし水面から首をもたげて咲く姿が、花が小さく、その埋め合わせに白い葉をよういしたコンロンカは、かくのごとく束になった姿が、私好みです。

忽然と落下したサクラの枯れ枝。もしこの下にヒトがいたらと思うとゾッとします。微風すらありませんでした。サルの重みでもなかった(逃げ去る足音を聞いていません)。おそらく雨水をすって重くなり、自重に耐えられなくなったのでしょう。

ケンの床ずれがほぼ完治しました。この床ずれのおかげで、私は過日、真の獣医さんの奥さんに褒められ、妻が四国に出かける5月24日時点が最悪の状態であったことを知りました。その上に、この床ずれのおかげで水曜日に妻に叱られ、反省です。

今週の美味は、このいただきもののキンメダイやシジミでした。キンメダイは、煮物だけでなく、塩麹で味付けした焼き物としても味わいました。もちろん、毎日のようにキュウリの丸かじりをしています。なかにはこのようなキュウリも採れます。

ぐずついた木曜日のまとまった仕事は、刃物研ぎでした。午後から「これもお願い」と頼まれたりして、結構な数になりました。研ぎ方は上手には見えませんが、切れ味は引けをとらないと自負しています。