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タイミングと炊合せ 12/09/23

 キノコのシ−ズン入り。発情期のシカの鳴き声に起こされ、畑で輝くように咲き誇る最盛期のハナオクラが、毎日姿をさまざまに変えて食卓に登る今日この頃です。

 久しぶりに「やった!」という気分の週初めでした。草抜きに励み、キュウリの支柱を解体し、夕刻からこの日の仕上げとして焚き火を選び、妻と2人がかりで囲炉裏場に溜まった剪定くずを燃やし切ったのです。その後、手分けして愛犬の散歩に当たり、そそくさと居間に引き上げ、焚き火で焼き上げたジャガイモとタマネギを肴に、ビールで乾杯。本日をもって、夏野菜の主要な1種が畑から消え去りました。キュウリです。

 月曜日も良い1日でした。未来EXPOに関わる4人の学生が、庭仕事の加勢を兼ねて訪ねてくれました。テーマは衣食住の住でしたが、都市のあるべき姿に関心を抱き、東日本の被災地復興に焦点を絞っていました。この4人に与えた庭仕事は、2つの植樹用の穴掘りと、囲炉裏場の後片付け。4人は手早く課題を仕上げ、再訪を希望して帰って行きました。見送った後、キュウリの跡を仕立て直し、ハクサイの苗を植えました。夕食の主菜は待望の「ナスとミガキニシン」の炊合せ。今年2度目で最後かもしれません。

 その後の3日は外出や外食が重なり、庭仕事は火曜日と木曜日の午後に限られました。火曜日は朝から定期検診。病院から妻に電話をすると買い物の最中で、「ブロッコリーの苗を買おうとしている」とのこと。最寄り駅で落ち合って帰宅。雨が小振りになった午後から2人で畑に飛び出し、ブロッコリーとわが家で育てたナバナの苗を植えたり、妻に急かされて根菜類、ダイコン、カブラ、そして紅芯ダイコンを直播きしたりしました。その後、東山の料亭まで外出。まさに時を得た映画のクランクインが迫る映画監督と、意見を交わす機会を得たのです。談論風発は文明と文化の峻別にまで及びました。

 水曜日は、妻がパリから生徒さんを迎える日。かつて日本観光の途上でアイトワに立ち寄った女性で、人形創作の経験者。妻から「頭(かしら)」の作り方を学びたいとか。私は午後から外出。まず病院で心エコー検査と24時間ホルダー心電図検査機の装着。その足で、過日の「いってらっしゃい おかえりなさいプロジェクト」の岡部さんと落ち合い、喫茶の後、児童文学作家と総合司会に携わった議員と会食。御所そばの割烹でした。

 木曜日は、昼に病院で心電図検査機を外してもらい、午後2時から畑に出ました。週初めの焚き火の灰の整理、除草、そして16ササゲと最後のインゲンマメの支柱を解体して畝に仕立て直し、ハクサイの苗を植えました。4時前から富美男さんを迎え、旧果樹園の手入れに当たってもらえました。焚き火の木灰を半分こしました。

 週末の2日は来客や外出予定がなく、しかも雨もふらず、随分庭仕事に時間を割いています。アトリエの入り口周辺の植え込みの剪定をしたり、オリズルランの鉢をポットウォールにデビューさせたりしたのがカフェテラス仕事。残っていた防鳥ネットを外すのに手間取った後、キュウリの畝の跡に肥料を鋤き込み、コマツナの苗を植えたり、モロヘイヤとピーマンを刈り取りとったりしたのが畑仕事。そして、モロヘイヤとピーマンの葉を佃煮にしたくて妻と2人でちぎり取ったのが夜なべ仕事でした。

 この間に、キウイブラザーと私を呼んでくれるNZの親友(2度ホームステイした)Reiさんと交信。Reiさんはホームビルダーですが、1昨年NZのドクターオブタイヤーに輝いた息子が「結婚して、家を建てさせてくれた」とのこと。

未来EXPOの4人。男子の3人が掘った2つの植樹用の穴は、11月にイチゴノキと自然生えのニセアカシヤを移植します。紅一点は、腐葉土小屋に今年最初の落ち葉を運び込んだ人になりました。この4人にとって、この手の庭仕事は初体験のようで、不器用な手つきでしたが、とても手早かった。

珍しいキノコも出ました。黒松の根本ですが、何とも不気味な形です。この赤いキノコも初見です。いずれキノコ博士に正体を明かしてもらいたく思っています。スモモの幹で、サルノコシカケが育っています。これは木を痛めないように早晩取り除くつもりです。

何とも美味しく仕上がった今年2度目のニシンとナスの炊合せ。4日ほど前に煮たミガキニシンを、日に1度は火を入れて出汁に馴染ませておき、そこにサッと炒めたナスを加え、その炒めた汁を加えて煮たようです。今年はもう一度食べたいぐらい。

火曜日の料亭に招いていただいた人に、チーズとウニを組み合わせたおみやげをもらいました。薄く切った食パンを半乾き状態に焼き、その上に塗って酒の肴とし、まず冷酒と合わせましたが「これはいける」、と思いました。ありがたい初賞味でした。

ハナオクラが、日々姿を変えて食卓に登ります。色合いよし、味よし、口の中でぬめり始める食感よしで、妻は気に入ったようです。オクラと合わせた酢の物、ネバネバ四君子、そしてお澄ましは定番になっていますが、このところ、サラダに生かされることが多くなっており、いずれは定番となる組み合わせが誕生することでしょう。

モロヘイヤとカラーピーマンを刈り取りました。モロヘイヤは葉が硬くなる時期ですから、軟らかい間に葉をちぎり取り、冷凍保存します。カラーピーマンは、畝の跡に一刻も早く冬野菜の苗を、ミブナやミズナを植えたいのです。モロヘイヤの跡は、排水工事で秋に掘り返す予定ですから、いかに活かすか思案中です。

奇妙なことで、生きている実感をさせられました。夏野菜が次々と畑から姿を消す時期ですが、インゲンマメのツルを支柱からほどいていた時のことです。ツルムラサキなどがからんだ防虫ネット横目に見ながら「どうしよう」と考えてしまいました。農家の使い捨てる気が分かりましたが、私はネットごとタライなどに浸けて野菜を腐らせ、幾度でも再使用し、その水は肥料にしよう、と考えていたのです。