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 価値の創造と真の安全保障 14/05/04

 庭は今、花盛りです。新緑も美しければ野草も可愛い時期です。フジの花が咲くと、いつもどこかからクマバチが集まってきます。苦労して自生化させた花はいとおしいし、再生したナズナやユキモチソウとか、生き残ったフユシラズのような花もいじらしく、捨てがたい。もちろん春の七草や、食材として日常的に用いるミツバや宿根ソバはもとより、コゴミ、ミョウガ、あるいはゼンマイなど(フキ畑と同様に)畑と呼ぶにふさわしい自生場も捨てがたい。
 
 週初めは、急遽(冨美男さんと一緒に)お通夜に出かけたこともあって、庭仕事ができませんでした。哲範さんは週初めの朝一番から腕めくりをして、母屋の玄関や竹の入り口の掃除をしていましたが、それは網田さんを迎えるためです。私は月曜日も、翌日から網田さんと臨む半断食生活の都合で、新たなタラの畑にしようと思っているところの手入れと薪の整理程度しかできませんでした。今年のGWは、奈良の春日村でまるごと缶詰生活に当てることにしたわけです。

 この留守の間に、庭ではヒメジオンキツネノボタンなどが次々と開花したり種を結んだりします。それらの対処は哲範さんに、明範クンには(種をまいたり苗を植え付けたりした)野菜の水やりを頼んでいます。その上に、哲範さんは、スギナ対策にも取り組みたい、と自己申告。また、除草に取り組んだが日曜日に、サラダの食材として「おいしそうなタンポポを見つけた」と、とても嬉しそうな声を、つまり妻からよく聞くような喜びの声を、聴かせてもらっています。

 この一帯は、GWのあとは観光の閑散期になります。とはいえ未花さんはカフェテラスに張り付かざるを得ないでしょう。しかし、哲範さんには自由になる時間が増えるはずです。こうした閑散期の生かし方次第で、この一家の生活は大きく左右されることでしょう。いかに閑散期を創造的に活かすことができるか、そのありようがこの家族の幸せや豊かさ度を決定づけるはずです。

 私たち夫婦は、この課題に40年にわたって取り組んできたわけです。妻は嫁いでくるときにスキー道具一式を持参しましたが、何年か前に、使わずじまいのままゴミにしていました。それをゴミにさせたこの庭で、人形創作の喜びに目覚めており、いつしかこの3反の庭を庭宇宙と呼び始め、大勢の人形仲間に恵まれたわけです。庭宇宙は今、未花ちゃんのおかげで欧米系観光客に立ち寄ってもらえる率が格段に増えています。これは、私たち夫婦が秘かに願ってきたことであり、大げさですが、わが国が目指すべき真の安全保障の一助になるはず、と見ています。

 過日NHK−TVで、「日生(ひなせ)」が採りあげられました。高度経済成長時代の公害で汚れた瀬戸内の海を、漁民が心を一つにして浄化し、カキの養殖などに成功。里山のように仕立て上げて「里海」と命名し、「SATOUMI」を国際語にしたとか。この努力のほどを見知った人なら、誰しもが「この海はこの漁民たちに任せておき、その恩恵である海産物を味わい続けたい」と願わずにはおれないでしょう。もし、こうした里海や里山が日本のあちらこちらに誕生したら、世界屈指の風光明媚な観光国になり、ネオ・ジャポニスムが世界を席巻するに違いありません。こうした国の形を確立し、わが国の未来世代への贈物にしてはどうでしょうか。

 先週は「女性の時代だ」と感じさせられましたが、よく考えてみると、その根本は地道な努力を積み重ねて「価値を創造」するところにある、と見てよいのではないでしょうか。どうやら21世紀型のヒトから人への脱皮は、女性に有利なのかもしれません。過日、「10銭」のつもりで広げた両手が西洋人に「10円」と理解された逸話に触れましたが、その女性は母として息子を見事に育てあげ、埋もれていた過去の創造物に真価を与えさせています。網田さんとこのようなことをるる語らいながら、今頃は 明日香村で半断食生活を仕上げている最中です。
 


新緑が最も美しいころ

新緑が最も美しいころ

新緑が最も美しいころ
新緑が最も美しいころです。その様子を日々変えますから、1週間後には見違えるほどでしょう。哲範さんさんは毎朝のように、カメラをもって庭に飛び出していますが、そのありようは、一瞬を盗み取る撮り方ではなく真の撮り方の会得に結び付きそうです。つまり「盗る」「取る」から「撮る」への成長です。

昨年はあまり花をつけず、下手な剪定を妻に責められましたが、このたびのフジは見事に復活し、数も多ければ形も大振りの花をつけ、クマバチも喜んでいることでしょう。


ジュウニヒトエ
自生化させた花は、ヒメオドリコソウ、ジュウニヒトエ、(七草粥の)ホトケノザ、セイヨウサクラソウ、そしてこの月曜日から咲きはじめたハナゲシがその代表です。もうすぐ、ニホンサクラソウ、ムベ、あるいはオドリコソウも自生化することでしょう。再生出来た代表は(七草粥の)ナズナ(ペンペングサ)です。

ハナゲシ

オドリコソウ


手入れ前

手入れ後
新たなタラの畑を用意しようとしています。それは庭の北面であり、月曜日にその周辺の手入れをしましたてが、6本目のユキモチソウを見つけただけでなく、テンナンショウの異なる種を見つけています。

6本目のユキモチソウ

テンナンショウ


雨除けのフレーム
まず、哲範さんとトマトの畝に雨除けのフレームをかけ、過日佛教大生が一輪車で運び上げてくれた薪の整理に当たり●●、ブルーシートの覆いをかけましたが、「なんとその1時間後(月曜日の午後2時)」から待望の雨が、期待通りの強さで降り始めました。

薪の整理

薪の整理後


ヒメジオン

キツネノボタン
ヒメジオンやハルジオンはこれから花盛りになります。キツネノボタンは今が花盛りで、すぐに実を着けます。どこを自生地にして残すのかが思案のしどころです。哲範さんはスギナも、畑からは消して自生場所を定めるという難しい作業に取り組もうとしています。

サラダの食材としてタンポポはフランスで大人気です。今は亡き荒川修作さん(彫刻家)は(アイトワに泊まってもらった折に)、庭のあちらこちらで立ち止まり「どうして摘まないの」とうるさいほどでした。その味を哲範さんも覚えてもらいましたが、庭をめぐりながらその美味しそうなのを見つけておき、早速活かしてくれました。