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トルコと人災 10/05/23

 ちょっと留守をしていた間に、庭は一変していました。まずジャスミンの香りに迎えられ、次いで鬱蒼とした木々に驚かされました。13日間のトルコ旅行から帰り着いた夜のことです。門扉のそばに一輪車が置いてありましたのでトランクを積んでいると、妻が小走りで迎に出てきました。思わず出た「数年もすれば、夏のわが家は樹海に埋まってしまいそうだね」が挨拶でした。

 夕食は、初収穫のスナックエンドウや最後のタケノコのお惣菜でした。風呂は、太陽光だけで沸いたという今年最初の湯に浸たり、体重計にのりますと計画通りに2kg減量できていました。私が胸を張ろうとしたときに、背中を拭いてくれていた妻が、「二の腕あたりが細くなり、肝心のお腹は減っこんでいませんね」といい、すぐさま「お互いさまです」と捕捉しました。

 このたびトルコを初めて訪ね、火曜日の夜に帰宅しました。文明発祥の地に立っているとの実感をさまざまな形で味わいましたし、シルクロードの西の果てにも立てました。問題は、肝心の2つの期待が両方とも満たされず、旅行案内の不備に泣かされながら、それがトルコ再訪と、歳相応の知恵の必要性に気づかせてくれたのだ、と自分を納得させたことです。

 翌水曜朝、用足しのおりに見た裏庭に感動しました。ワラビ、ウド、コゴミ、カラムシ、セリ、そしてミツバが長け、ヨメナやユキノシタが咲き、ゼンマイ、フキ、そしてヨモギが期待通りに増えつつあったからです。裏庭を山菜の宝庫にする夢が現実になっていたのです。その間で白いマーガレットだけでなく、1輪ですが真っ赤なケシが咲いていました。

 時差ぼけを嘆いている暇などありませんでした。まず、校正期限最終日の作業にとりかかりひとしきり感慨に浸りました。今の私は、幼児期のたった1年の体験に導かれていたのですが、その再確認をするような作業であったからです。手紙やメールの整理もしました。その間に、富美雄さんを迎え、午後のお茶を一緒に過ごしました。留守中に綺麗な切り花や鉢植えの白いシュウカイドウとかサツマイモの苗などをもらっていたからです。庭には夕刻に少し出て、雨の重みで垂れ下がっていたモミジの枝をさばき、温室で植木鉢の手入れをしました。

 夜に、テレビのニュースを聞きながら新聞の整理に手をつけ、肉牛などの虐殺計画が進んでいることを知り、思わず「人災だ」と口走ってしまいました。

 木曜日、昼前に久しぶりでカッコウの鳴き声を聴きました。その午後から本格的に庭に出て、除草から手をつけますと、ホトトギスやウグイスが鳴きはじめました。一般的に、ウグイスはホーホケキョと鳴きますが、昨年は1羽だけ「ホーホケキョケキョ」と鳴くのがいました。今年も1羽ですが「ホーホロリン」と尻上がりに鳴くのがいます。その声にさそわれて庭をめぐりますと、今にも種を落としそうな野草が次々と目に飛び込んできました。旅の前に一通り抜いておきましたし、留守中は妻がせっせと抜いてくれたようですが、追いつかなかったのでしょう。

 金曜日から朝飯前の一仕事も始めました。裏庭でびっしりと生え揃った山菜や草花をよく見ますと、手放しで喜んでいるわけにはゆきませんでした。ミツバ、ユキノシタ、ブライダルベール、あるいはシュウカイドウなどがエビネランを覆っており、放ってはおけない状態になっていたからです。パジャマとヘップサンダル姿で草抜きに取組み、すっかり足を汚しました。

 週末は前日からの好天が続き、夕刻には妻にも手伝ってもらい、2日続けて畑仕事に励みました。アイトワ菜の種の収穫、その後の除草と畝の仕立て直し、サツマイモの苗の植え付け、あるいはインゲンマメやキュウリの支柱立てなどを済ませたのです。この間に、嵐山の大悲閤を補修するための会合に参加したり、嬉しい贈り物に恵まれたりしています。
 

追伸
 来る6月26日に大阪で行われる自主上映映画「こつなぎ」でのトークショウの詳細が分かりました。アイトワ塾生製作のホームページ(
http://www9.plala.or.jp/aightowa)で紹介しても らえることになりました。ご参照いただければ幸いです。

「入会権」という、これからの時代を考える上で、重視しなければならない貴重な文化がテーマです。こうした文化を粗末にしたことが、山が荒れただけでなく、人と人のつながりも荒れてしまい、自殺、独居老人、孤独死などを増やしていたように思われます。ここらあたりで、社会システム自体を改めないと、大変な事になりそうです。あるいは、各人の自己防衛策が急がれそうです。


 

洗面所ではダッチアイリスが、夕食のテーブルではポピーが迎えてくれました。とりわけポピーをしげしげと眺めました。花びらの色に合わせるかのようにして雄しべなどの色を選んでいることに気付かされたからです。

翌朝、前夜迎えてくれたよい香りの主を撮らえました。緑のガレージのジャスミンの花です。そのあと、畑仕事の励んでいますと、甘い玉神木の香りが漂ってきました。満開でした。前の道を行く人に「これ、何の香り」と時々立ち止ませる香りです。

前夜鬱蒼として見えた庭の姿を見て周り、すべて種や苗から育てた木々の姿に目を細めました。その気になれば誰にでもできる庭ですが、私の場合は、その気にさせたのは幼児期のたった1年間の体験です。今週は、それを再確認する文章の最後の校正も済ませました。

畑のケシは、もはや晩期でしたが、遠目には美しく映りました。よく見てまわると、真っ赤な花にまじって、7種ほど異なる色あいの花が咲いていました。赤い花は、若さだけの味気ない女性をイメージしましたが、さまざまに成熟した女性をイメージさせる花もありました。


除草前

除草後

抜き取った草
金曜日の朝飯前の一仕事は、裏庭のエビネランの手入れでした。エビネランが3箇所で育っていますが、写真はそのうちの1箇所です。左から、除草前、除草後。そして抜き取った3箇所分の草。この作業は、これから毎年繰り返さなければなりません。抜き取った草の内、軟らかそうなミツバは朝食の味噌汁に用いました。

富美雄さんくださった切花の一部。妻がこれらの花が育っている畑を見たいと望みますので,一度迎え入れてもらえるようにお願いしています。

秋田から届いた山菜。「今年は雪消えが遅く、山菜も今が盛期です、羽後町産の山菜、色々送ります。アイコ、シドケ、ホンナ、ワサビ、ヒデコ、コシアブラ、アケビツル、タケノコ、ウド、ワラビ、ミズ、スイバは生で味わってください」とのメッセージが添えられていました。露地栽培野菜の端境期ですから、いつもこの友人の山菜に大喜びさせられます。