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文化と「こんなに!」 11/11/20
 
 「こんなに!」と思うことが毎日のように続いた1週間でした。滋賀県立大学の2人の研修生を受け入れた日曜日がその最初。次いで京都産業大学から届いた300名余の学生の講義感想文で。火曜日はイノシシとの知恵比べで。翌日の「こんなに!」は、緑の天蓋を剪定し終えた時に。そして、この冬最初に摂氏15度を割った寒い翌朝にも。さらに、親友からお裾分けに浴した(?)山の幸で、と毎日のように続いたわけです。

 滋賀県立大学の研修生は、与えた課題黙々とこなす2人でした。昼食時も含めて7時間余も一緒に過ごしましたが、腐葉土小屋ではカブトムシの幼虫に目を輝かせ、焚き火では「線香の匂い」と叫んでいました。「こんなに体を動かしたのは久しぶり。筋肉痛になりそう」とか「また来ていいですか」と、言い残して去りましたが、「こんなに文化に馴染みやすそうな若者は珍しい!」と思いました。だからでしょうか、白川郷での思い出を振り返ったり、1992年のリオデジャネイロ宣言は、「あれは文明から文化への転換宣言」であった、あるいは「そう明確に規定すべきであった」と振り返ったりしています。

 学生の講義感想文では「こんなに丁寧に読んだことが(これまでに) あったかな」と思わせられました。それぞれの学校には独自のカラーがあるようですが、京都産業大学から届いた学生の声は率直で、それだけ余計に若者が愛おしくなりました。もちろん、残念な思いをした意見もありましたが、それだけ一層「やる気」を刺激されました。

 イノシシとの知恵比べは功を奏し続けており、「こんなに気を緩めてよいものか」と不安になるほど無用心だった日がありました。知恵比べに優っていたのではなく、この秋は「ドングリなど山の幸が豊富なだけかも」と気付かされ、いわゆる「平和ボケ」したわが身を恥じながら、かつて(イノシシに)壊された堆肥の山の再構築に手をつけています。

 前日から手がけていた緑の天蓋の剪定を水曜日に終え、「こんなに(庭仕事が)捗ったのは久しぶり」と喜んでいます。「まだこんなに体が動くんだ」ともニンマリしました。まず、朝日を浴びながら畑の草抜きで体を温め、その上で面倒なツバキの治療に手をつけました。新兵器の小型エンジンソーを始動させて、急斜面の土手に生えたヤマグリの太い枝を落したりクヌギを切り倒したりしましたし、果樹園の手入れにも励んでいます。

 木曜日はこの冬一番の冷え込みで、摂氏13度を指しました。パンツ1枚で首筋や二の腕まで冷水で洗う習慣はまだ続いています。妻は背を丸めて起きだしてきましたが、「こんなに(カエデの)紅葉が遅れたのは(嫁いできて38年来)初めてですね」と語りかけてきました。幸いなことに10時頃から陽が射し始め、トチュウやタニウツギなどの剪定だけでなく、次週末に迎える佛教大学生の受け入れ準備にも手を出しました。庭で多々キノコを見かけた日でしたが、夕刻の焚き火ではこの冬最初の焼き芋を味わっています。

 曇天の金曜日は、午前中で庭仕事を切り上げ、デスクワークに熱中です。夕食では焼き松茸を頬張りながら、「こんなにキノコに恵まれるなんて!」と声を上げています。2度目のヒラタケにも恵まれましたし、本物のマツタケの味と香りを久しぶりで堪能です。

 この他に、今週はホウレンソウの収穫を始めており、2種のエンドウの苗作りとその畝の準備も始めています。病院での検診結果は「はぼ期待通り」でした。喪中の知らせが来始めました。2週間後に迫った鹿児島大学での講義の準備に追われた1週間でもありましたが、「こんなに降っていて大丈夫かな」と空を見上げながら週末を迎えました。
 

この2人も「一期一会」になるかも知れないと思い、さまざまな体験をしてもらいました。貝殻を砕いて肥料にする作業や樫の生垣の剪定くず拾いを手始めに、まだ残っていた常緑樹の落ち葉と、すでに始まっている落葉樹の落ち葉をかき集めて腐葉土小屋へ運び込む作業に精を出してもらいました。富有柿の丸かじり、ブロアーの使いこなし方、そして焚き火も体験もしてもらいました。彼女は焚き火で「線香の匂い」といって深呼吸をし、「善いセンス」と妻を驚かせました。

新たに築き直し始めた堆肥の山と3日後の山。イノシシは、美味しい農作物を狙ってわが家を襲っていたのではなく、飢えには勝てず、命がけで侵入していたのかも知れない、と私まで同情し始めています。そばにあったかつての山は、カブトムシやミミズが狙われてグチャグチャにされてしまいました。

久しぶりのツバキの治療。自生のミョウガ畑を掃除していたときに、そこで一緒に自生したツバキの根元に異常を発見しました。茶褐色のビロード状の病巣です。母ゆずりの小道具も持ち出し1時間におよんだ治療にとりかかりました。この期に発見できずにもう1年放っていたら、この木を枯らせていたかも知れません。

夏場の囲炉裏場を木陰にする「緑の天蓋」を、やっと剪定し終えました。その剪定くずで、また山ができましたが、冬場の焚き火に活かします。庭仕事に慣れない学生がケガをしないように、焚き火で体をまず温めてもらうようにしています。

この冬最初の焼き芋。燃えつきやすい竹の枝葉、火種を作りやすいクヌギの枝葉、一刻も早く灰にしたいキイチゴやグミなど棘のきつい木の残渣とか、果樹園の草刈りで出た種をつけた野草、あるいは火の勢いをしずめやすいヤツデやアオキの枝葉などを加減しながら燃やしました。その終わりがけに、サツマイモを「いただいたの」といって妻が焚き火に突っ込めば、私は周囲の燃えカスを積み上げました。翌朝、明日は「雨になりそう」とみて、灰とりをしました。

危険極まりないエンジンソーの活かし方。クリの枝の切り落としや、クヌギの切り倒しをしたあと、残っているガソリンを使い切るために薪造りをしました。決して横着な活かし方をしているのではなく、少しでもガソリンの使用量を減らす使い方をして、CO2の排出量を減らす工夫をしているつもりです。

キノコに恵まれた週になりました。庭で2度目のヒラタケが出たことから始まり、さまざまな野生のキノコを毎日のように庭で見つけ (HPの今週の花でとりあげます)、喜んでいます。その上に、金曜日のことです。本マツタケを一気に堪能したのです。決して贅沢のつもりはなく、こうした堪能をすると、2度と食べる機会にめぐまれなくともカツカツせずに済む、と過去に体験しているからです。