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アイトワ循環図

 アイトワ菜と状況判断の醍醐味 18/01/08

 「めでたき初春に 犬もほっこり 電柱でござる」との知人の賀状で始まったようなところがある今年。「もう一頭、小犬がほしいね」とか「まだ、大丈夫(その犬の死を私たちは見届けられる)でしょう」などと、妻と語らいました。その後「これだけは」と思うことがキッカケになり、中締めした「自然計画」ですが、早々と禁を破り、後藤さんを煩わせてしまうことになりました。

 昨年度のビッグイヴェント、中村敦夫朗読劇「線量計が鳴る」の「締めの領収書」が届き、ケジメがついたのです。他にも、幾つかの「例年通りに」とは行かないことが生じており、一緒に記しておきたくなりました。まず、アイトワ塾の新年会。塾自体を中締めしたとあって、予期せぬ喜び(2通の手紙)に恵まれたのです。昨年は、長患いしていた元塾生の岡部長生さんをついに喪い、唐突に現役の野中健二さんは泉下の人になりましたが、両ご夫人から予期せぬ手紙をもらったのです。

 庭ではかつてなかったことが生じています。サルがナンテンの実まで、カラスはサザンカの花びらまで食べ始めました。シカは、レモンの若木をボキボキ折るなど柑橘類の小枝まで食べ始めました。かつてなかったことです。山はよほど荒れ、野生動物は深刻な餌不足に追い込まれているようです。

 畑も異常です。野良仕事を始めて今年は61年目。「生鮮野菜の自給力ぐらいは」と願い、40〜50種の野菜を育て始めてから40年余。その経験の範囲ですが、かつてない異常が生じています。ダイコンとハクサイはもとより、例年より早く苗を植えたブロッコリーも、まだ収穫が始まっていません。そうと気付き、トンネル栽培でビニールフイルを初めて用いましたが、追いつきません。おのずと食卓はアイトワのオンパレード。これに加えて、次年度の異常に備えて試みていることがあります。ここに、理論上は望み得ない「素人のこわさ」を知るに至り、試みていることがあります。

 他にも「初めて」試みたことがあります。正月半ばにして大工、石工、塗装工、電気工、内装工、あるいは庭師や農夫と、多様な作業に総合的に取り組んだことです。それは、スロープ階段の防草舗装で直面した難問と、新春の定期検診で灯った赤ランプがキッカケです。風化した竹細工製品の塗装。風除室でのロールカーテンの取り付けぼろ脚立の廃物利用など、状況判断の醍醐味を追い求めたのです。

 初めて知って、感心したこともありました。TVニュースで、砂漠の民のありようと、アメリカの友人から届いた年賀でお洒落なジョークを知りえたのです。ベドウィンは大昔に、時速60kmで3kmも走破する犬・サルーキをつくっていた。昨今の中国ではサハラ砂漠の拡大に悩み、壮大な緑化事業を進めていましたが、なんと日本の国土より広大(幅1500km×長さ4800q)だったのです。お洒落なジョークとは、トランプがらみです。ちなみに、中国語訳付きの『アイトワ12節』の編集は順調に進んでいます。

 もちろんわが家の基本は、わが家なりの歳時記を日々尊重し、わがアイデンティティの確立とその実感の一助にすることです。そこに、6日の新年会で岡部長生さんと野中健二さんを改めて偲び、次いで友人の苦境を電話で知り、さらに、初の検診で赤ランプがともり、バチが当たりそうな心境にされたのでしょう。友人の苦境とは、ただならぬ病魔に侵されながら、尋常ならざる信念を貫いている姿です。なぜか、吾ながら驚くほど心を穏やかなさせられているわけです。

 


領収書の宛先
個人名義の郵貯口座から振り込んだので気にしていたことがあった。しかし領収書の宛先が「線量計が鳴る」を公演したグループ宛となっており、心配が解消した。だが「京都公演」の「京都」が抜けており、その分ガンバラなくては、と思っている。


岡部ご夫妻共作のマフラー

野中夫人は「奥様に」とのショールを持参下さった
岡部ご夫妻共作のマフラーから「使い込んで下さい」との気持ちが伝わって来る。長生さんは、達観の死と見ている。常日頃から「相手の先々を見すえた言葉」を発する人だったから、夫人のまさよさんはこれから「日々夫の言葉を振り返り」心の支えにすることだろう。野中夫人は「奥様に」とのショールを持参下さった。妻は「和洋どちらにも活かせそう」と大喜び。新年会も賑わった。実はこの時期に、健二さんはよく1人では訪れ、いつも業界の未来の夢を語ったものだ。健二さんも相手思いの先がよく見える人だったから、順子さんはこれから何かにつけて「夫ならどうしていたか」と思いだし、心の支えにすることだろう。塾生の皆さんの配慮のおかげで得た安堵や喜び、と喜んだ。

新年会も賑わった

 


枝を折られたり

急ぎ寒冷対策を講じた
柑橘類の若木をことごとく(と言っても6本だが、枝を折られたり、柔い小枝まで食べ尽くされたりと)大被害。シカは、クワ、ギボウシ、マチヨイウサ、ビワなどと、好きなものから順に食べ、リュウノヒゲ、アジサイ、ヤツデ、ハランと対象を広げ、ついに柑橘類に手を出した。これを機に、急ぎ寒冷対策を講じたが、木の立て直しに2年は余分にかかりそう。


七草粥の「スズシロ」にはぴったり

ブロッコリーはまだ花芽さえつけてない

ダイコンは例年の10月頃並みの育ち具合で、七草粥の「スズシロ」にはぴったりだった。ハクサイやレタスは、まだ「大きめの苗」程度。ブロッコリーはまだ花芽さえつけてない。おのずと、食卓はさまざまな畝のあちらこちらに自生するアイトワ菜のお浸しや炒め物のオンパレード次年度の異常に備えて試みていることとは、根菜まで苗をポットで事前に育て、畑に本植えする方式。「素人のこわさ」とは、今頃に、根菜(ダイコン)の(肝心の生長点を切り取った)苗を、「この方がうまく育つ」と聴かされて妻がもらい、聞いた通りに植え付けたこと。興味津々。


あちらこちらに自生するアイトワ菜

根菜(ダイコン)の(肝心の生長点を切り取った)苗


フジづる細工にも手を付け始めた

ロールカーテン
竹細工製品は網田さんの技と心の結晶だ。その風化を止めたくて塗装を始めたが、「ついで」と知人にもらったフジづる細工にも手を付け始めたロールカーテンは、冬場の(土手の草が枯れている間の)台所仕事を明るくできるのでは、と取り付けた。


鉄製のぼろ脚立を半分に切って塗装

ハシゴとして廃物利用
年末にやっと、水洗トイレ用雨水タン周り(の樋や屋根に溜まった落ち葉)を掃除したが、脚立を持ち込むのにひと苦労した。そこで古くて重い鉄製のぼろ脚立を半分に切って塗装し、ハシゴとして廃物利用することを思いついた。これなら妻でも、いつでも掃除ができる。


初めて伊勢海老がついた
わが家のお節料理に、初めて伊勢海老がついた。いただきものを妻は冷凍しておいたわけだ。この贅沢ならアイデンティティの確立とその実感に彩を添える範疇だろう。これらは三が日で、2人で片づけたが、ふと考えた。独り妻が残こされれば、タケノコを亀にはしなくなったり、お節料理自体を作らなくなったりするのではないかとの心配だ。もちろん、妻は「その心配ご無用」と言うに決まっている。