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NZで考えました 06/02/20
2週間ほどニュージーランドを訪ねていました。世界一きれいな散歩道と自称する南島の南方にあるミルフォードトラックを踏破することから始まり、神戸時代の友の1人がNZに別荘を持っていたおかげで北島の北方にあるファンガレーを訪れ、あまり知られていないトラック・マナイア山の散策で締めくくったような旅となり、NZにすっかり魅せられて帰ってきました。
ミルフォードトラックは、距離54km高低差1000m強を3泊4日で歩き切る散歩道ですが、前日のナチュラルウォークをはじめ初日の樹齢300年のブナや翌日の落差580mの滝見学などでリュックを下ろして歩く距離も加えますと、合計68kmは歩いた計算になります。この時期、東京に比べて6倍の雨が降るところですが、3日目の標高1150mの峠を登り切るまでの最も厳しい時点で雨が降っただけ済み、結果的には最高の天候に恵まれた形になりました。
ランタンリルンというネパールの7200m強の山も踏破した登山家も一緒でしたから、用意していた雨具だけでは不十分だと知り、現地で買い足すものやトレッキングシューズの紐の締め方も教わりました。おかげで、途中では引くに引けない散歩を乗り切れただけでなく、ふくらはぎだけでなく太ももまで痛くなった最終日の20kmは独りで歩き、昼食で休んだ数分間を除いて亀と兎を連想するような行動になりました。その間は、小鳥の声や木陰の涼しい風も楽しむなど、五感だけでなく第六感も動員したような愉快な7時間15分にわたる散歩になりました。
ファンガレーは夢の一週間でした。神戸時代の友は、お嬢さんがNZに留学し、教職の道や伴侶までえた関係で別荘を持ち、私の日程に合わせて日本を発ち、待ち受けてもらっただけでなく、ホームステイの紹介までしてもらいました。ホームビルダーのマオリ人、レイさんのお宅でしたが、奥さんはイギリス人で、長男は昨年NZのドクター・オブ・ザイヤーに選ばれていました。
この2軒に、私の取り合いをするような歓待をしてもらえ、友のお嬢さん夫妻のお宅やレイさんの夏の別荘まで訪ねただけでなく、遠出にも誘ってもらい、念願していた以上のことがかなえられました。カウリの森やワンタンギ条約が締結された地も訪れました。カヤックに乗ったりネットフィッシングやフライフィッシングをしたり、南十字星やプンガという巨大なシダを見たり、世界で最初に女性参政権を設けた国であったことを知ったり、見事な伊勢海老や自分で捕ったボラやカキを食べたり、チンパンジーに次いで賢い野生動物・オウム科のレイや野生のノブタと戯れたり、ホームビルダーセンターや地元のスーパーマーケットを訪れたり、キウイゾーンのマナイア山ではキウイの声を聞いたり、と初めての体験が次々と繰り広げられました。
それよりも何よりも、ミルフォードトラックで諸国の旅人と4日間寝食をともにしただけでなく、NZの先住民や古くからの入植者の末裔をはじめ、留学がきっかけでNZ国籍まで得た日本人や別荘を手に入れて行き来している日本人などと親しく触れ合えたわけですから、NZを理解する上でとても恵まれました。NZ人の美意識や価値観には大いに学ぶべきだと痛感しました。
帰国してみると、テレビ取材が始っていました。炭酸ガス排出の抑制をテーマにした番組で、数分間使っていただくだけですが、2日かかりの取材になりました。嬉しい知らせもたくさんありました。その一つは京都市から届いた大見の件に対する評価委員会が下した結論でした。「『けもの道の確保等可能な限り動植物への影響について配慮するなど、地域環境にふさわしい良好な道路整備及び利用の計画を明確にすること』を継続の条件としたうえで、『事業継続』は妥当であると判断した。なお、これらが達成されない場合は、『事業休止』もあり得る」とあったからです。キャベツの苗の植え付けをし、天地返しの作業を始めました。
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ミルフォードトラックでは、「動いている水は飲んでもらって結構です」と告げられました。多くの人が沢で一服したりしたときに、ペットボトルの水を捨て、沢の水を詰めていました。多くのNZ人は、未来世代にきれいな水や空気を残すことこそが現世世代の責務だと考えています。
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ピピという自分たちで捕った貝の身の取り出し方をレイさんから学びました。この身をミンチ器にかけた上で、牛乳や卵などをいれたころもに混ぜてかき揚げにしました。ピピは、浜の砂を両手で掘るたびに10数個も捕れました。数分でバケツ一杯分のピピが捕れました。美しい水や空気を大切にする生き方、環境的資産を大切にする成果の一つでしょう。
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コンチキフィッシングを試みようとしているところです。カイトフィッシングという凧を生かす漁法も学びました。ネットフィッシングではボラやニシンをたくさん捕り、刺身や塩焼きだけでなく、バナナの葉に包んだ蒸し焼きやフライにして味わいました。
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友の娘婿さんが、私たちのために潜って捕ってくださった大きな伊勢海老です。次回は一緒にスキューバダイビングをしてアワビや伊勢海老を捕ったりボートで沖に出てカジキマグロを釣ったりしようと誘われています。レイさんは、1潜りで5匹の大きな伊勢海老を捕った事があると語っていました。両脇と両手に各一匹持った上に、その両手と胸の間に残る一匹抱えたそうです。
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カウリの森で見た「森の父」と呼ばれる樹齢1200年の2番目の巨木です。この木に出くわした時に、しばしたたずんでしまい、目頭を熱くしています。そのあとで、樹齢2000年という巨木「森の神」の前にたどり着いたのですが、7つ8つの女の子が歌を唄いだしました。
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マナイア山の頂上です。標高460mの山を1時間半かけて登る散歩道ですが、キウイゾーンでしたから、レイさんはキウイの巣を見つけて教えてくれましたし、キウイの鳴き声を聞きました。鳴き声からキウイという名が与えられたに違いありません。
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ワンタンギ条約が結ばれた会場です。友の娘婿さんが、東の海岸近くにあるワンガレイから、西の海岸沿いにあるカウリの森を経て、この会場を結ぶ円周状の自動車道を平均時速100キロで車を駆る優雅な散策に誘ってくれました。その最後の立ち寄り先がこの先住民と入植者が条約を締結した会場でした。
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